はじめに

早稲田大学商学部の一般選抜は、地歴・公民型と数学型、英語4技能テスト利用型の3パターンに分かれます。数学型の配点は、外国語60点、国語60点、数学60点となっています。今回注目するのは、数学です。
早稲田大学商学部の数学は、文系数学の中で、非常に難易度が高いことで知られています。よって、傾向をしっかり掴み、対策を練るうえでのヒントにすべきです。
この記事では、2021年からの変更点、レベル、出題傾向に触れます。さらに細かく、大問の分析も行います。ぜひ、ご一読ください。

入試方法の変更点

2021年から、早稲田大学商学部の入試は、大きく変わりました。その変更点について、述べておきます。2020年以前は、英語80点、国語60点、地歴・公民または数学60点の計200点でした。社会と数学では、どうしても不公平が生じるため、得点調整が行われていました。よって、数学を得意とする人は、得点の標準化を軸に高得点を稼ぎ、合格を勝ち取っていたのです。
それが2021年、早稲田大学商学部の入試タイプは、地歴・公民型、数学型、英語4技能テスト利用型の3つに分けられることとなりました。ちなみに、地歴・公民型の定員数は355名、英語80点、国語60点、地歴・公民60点、計200点です。対して、数学型の定員数は150名、英語60点、国語60点、数学60点、計180点です。数学の配点はそのまま据え置きで変わりませんが、英語の点数が80点から60点に下がったことは、非常に大きいです。英語の配点が下がることにより、必然的に国語や数学の比重が大きくなります。数学の難易度は非常に高いので、数学が得意な人には当然有利に働きます。この、数学が得意な人ほど合格する可能性が高い傾向は、2020年以前と変わりありません。よって、早稲田大学商学部の数学の入試問題を徹底的に分析し、出題傾向を掴むことはとても意味のある事だと言えます。まずはこれを念頭に置きましょう。ちなみに、英語4技能テスト利用型は、募集人数30名と若干名です。

基本情報

試験時間は90分、大問数は3題です。1題目はマーク式設問で、小問集合が4問、大問2・3は記述式問題で、小問(2)~(3)くらいまでと考えておいてください。ちなみに、大問2と3は、それぞれ独立しています。
こうしてみると、試験時間に対して、大問数が少ないことに気付きます。じっくり1問1問時間をかけて取り組んで欲しいという大学側の意図が伺えます。よって、計算スピードはさほど重要視されません。ただ、計算力は求められます。また、他の大学、学部と比較して特筆すべき点は、総合的な思考力、特にパズル的思考力が求められる点です。

レベル

早稲田大学は、誰もが認める難関私立大学です。その中でも、商学部の数学は、文系数学の中でトップクラスの難しさであると言われています。それは、一橋大学や慶応大学、さらには日本最高峰の国立大学である東京大学の問題と比較しても引けを取りません。あるいは、それらよりさらに難易度が高いと評判です。その理由は、以下の通りです。
まず、一般的に難易度が低いと思われがちな小問集合でさえ、慶応大学などの難関大学で単独問題として出題されてもおかしくないほどの難問が出題される点が挙げられます。しかも、答えのみを書くことが求められる短答式の形式が採用されているため、記述式のように、途中の計算過程を見て部分点がもらえる可能性もありません。よって、点数を取ることは、非常に難しいテストだと言えるでしょう。
また、早稲田大学商学部の数学の問題に太刀打ちするには、思考力が求められます。なぜなら、過去に見たことのないような、どう解いていけば良いか全く見当がつかない難問が、毎年のように出題されているからです。初見の問題を解く力に加えて、高度な計算力も必要となります。
さらに、大問2・3は記述式であるため、自分の頭で考え、答えのみを導き出すだけでは不十分です。確かに小問集合と違って、部分点がもらえる可能性がある点はメリットですが、その分解答を採点者にわかりやすく説明する力、すなわち論理的に途中の処理を記述する力も不可欠となります。
このような点から、早稲田大学商学部の数学が、文系数学の中で最も難しいと言われているのです。

出題傾向

2017〜2021年の出題分野をピックアップしてみると、よく出題される分野が浮かび上がりました。早稲田大学商学部の数学の傾向として、よく出題されるものとそうでないものの差が明らかであることが挙げられます。

Ⅰ-Ⅱ B B A B
入試年 二次関数 集合と論証 数と式 指数・対数 三角関数 微分・積分 複素数 式と証明 数列・漸化式 三角比 図形と方程式 ベクトル データの分析 図形の性質 整数 場合の数 確率 確率分布 大問数
2021 3
2020 3
2019 3
2018 3
2017 3
合計 1 4 1 4 5 1 4 2 1 1 5

最も頻出なのは、

・数Ⅰ・Ⅱの数と式
・数Aの整数
・数Ⅱの微分積分
・数Ⅱの三角関数
・数Bの数列・漸化式

の5つの分野です。全ての分野を満遍なく勉強することは必要ですが、入試直前になったら、特にこれらを重点的におさえておくと良いでしょう。頻出単元については、レベルの高いものが出題されることが多いので、応用問題が出ても対応できるように、準備をしておくことも大切です。

大問ごとの分析

小問集合

早稲田大学商学部の数学で、明暗を分けるポイントとなるのが、小問集合です。小問集合は4問あり、おそらく5点×4問で20点満点だと予想されます。早稲田大学商学部の平均点は、簡単な年は25点まで上がったり、難しい年は20点を下回ったりするものの、だいたい20点前後を推移することが多いので、小問集合で満点をとれば、平均点を獲得したことになります。
実際に満点は可能なのか問題を見てみると、他と比較して小問集合の問題は、どこかで見たことがあるような問題が多いことに気付きます。さらに内容を細かく分析すると、数Ⅰや数Ⅱの範囲が狙われやすく、また微積に関する問題は、毎年出題されているという傾向が見えてきます。この傾向をもとに早い段階で対策を練れば、小問集合で満点を取ることは不可能ではありません。逆に、他の問題のレベルの高さを考慮に入れると、ここでミスすることは絶対に許されないと言えるでしょう。

大問2・3

まず、相当レベルが高いことを覚悟してください。形式については、計算過程なども書く必要がある一般的な記述式の問題ですが、そのレベルの高さは、けた違いです。大問2と3を比較すると、大問2の方が、全くの初見ではないことが多く、若干取り組みやすく見えますが、いずれも相当レベルが高く、基礎力と応用力をしっかり身に着けていないと、全く歯が立たないでしょう。
その上で傾向を分析すると、大問2と大問3では、小問集合とは違い、数Aや数Bの範囲がよく出るという特徴が見えてきます。もちろん、数Ⅱの範囲が出題される年もありますが、上記の特徴は小問集合にはない特徴なので、ぜひおさえておいてください。
また、大問3において、実験をする必要があったり、自ら法則や規則性を見出すことが求められたりといったパズル要素がある思考力を問う問題もよく出題されることも、大きな特徴の1つとして挙げられます。

まとめ

この記事では、早稲田大学商学部の数学の傾向についてご紹介しました。早稲田大学商学部の数学の問題は、とにかくレベルが高いので、小問集合でいかに点数を稼ぐかがカギになります。それを念頭に置いて、具体的な出題傾向、大問ごとの分析などを参考に、対策を練るヒントにしてください。