入試概要

出題傾向として、まず概要からおさえましょう。
(※ 当記事は、2021年の一部と2020年の早稲田大学商学部の日本史過去問を分析しております。)
全体的に設問は大問6題で構成されています。大問1~4まではマークシート形式、大問5はマークシートと記述の組み合わせ、大問6は記述と論述の組み合わせとなっています。
時間と配点は60分で60点満点です。各大問につき小問10問から出題されます。
大問5.6は1~4に比べて配点が高くなっています。設問数も多いので、1問にかけられる時間は限られていますので、時間配分には気を付けたいところです。
また、大問1は古代史、大問2は中世史、大問3は近世史、大問4と5は近代史、大問6は現代史から出題されています。特に近代史と現代史の割合が高いので、合わせておさえておきましょう。

問題別の傾向

大問1~5までのマークシート形式の問題について、基本的には400時前後ほどの資料を読み解き、適切な解答を選択する傾向となっています。特に正文誤文の判定について多く出題される傾向にあるため、知識を正しく理解する必要があります。

また、史料問題は例年必ず出題されているため、史料問題の対策が必要です。よく教科書や多くの参考書に掲載されている史料はもちろんのこと、教科書には掲載されない史料も出題されます。ただ、後者の場合は資料自体の知識を問うより、その資料から歴史的背景や関係性などを問われる傾向にあるので、参考書を読み漁る必要はありません。

知識としてはもちろんですが、歴史は人がどのような思いで、どのような歩みをしてきたかをまとめているものです。なぜそうなったのか、なぜそうする必要があったのか、など歴史的背景をきちんと理解しておく必要があります。

大問5の記述については、歴史用語が問われます。おおよそ3~5文字程度の語句を記入する内容です。
細かい話ではありますが、漢字ミスをしてしまうのが一番勿体ないかと思いますので、用語については正しく覚える必要があります。

大問6の論述について、こちらが一番配点の高い問題です。例年30~55文字程度の文字数で記入する内容となっていましたが、2021年2月の本試験では80文字程度の内容が出題されました。
恐らく、共通テストの記述力重視の傾向を反映させた可能性があります。今後はこのくらいの文字数の論述問題が出題されるかもしれません。
文字数が増えたとしても、なぜそうなのか、どうしてそのようにしたのか、因果関係や相関関係を問われる傾向がありますので、日本史の範囲をきちんと理解できているかどうかが、合否の分け目になります。
また、国語の問題にもなりますが、短い字数で決められた時間内にまとめる力も必要となるため、いかにインプットした知識を理解し、アウトプットして自分の言葉で書けるかがポイントになります。

時代別の出題傾向

大問1は、古代史から出題されます。時代区分として厳密にいえば原始(旧石器・縄文・弥生)~古代(古墳、飛鳥、奈良、平安)となりますが、原始については出題されない年が多く、貴族の時代である古代が中心に出題されています。主に政治経済、文化などの背景と絡めて出題されています。

大問2は、中世史から出題されます。時代区分としては武士と貴族の時代である、鎌倉・室町時代からの出題です。
中世でありながら、近代史と絡めた史料から出題された年もありました。そのため、時代として覚えるのはもちろんのこと、この出来事がどう関係しているのか、時の流れがどのように影響しているのか、といった背景も理解しておく必要があります。
大問3は近世史から出題されます。時代区分としては武士の時代である、安土桃山・江戸時代からの出題です。
政治経済や外交問題、史料を用いた文化についての問題など、幅広く出題されています。
大問4と5は、近代史から出題されます。時代区分としては、ペリー来航から第二次世界大戦までの期間です。変化や出来事も多い時代のため、ボリュームがあります。
こちらも政治経済、外交、史料を用いた文化についての問題が出題される傾向があります。
大問6は、現代史から出題されます。第二次世界大戦以降の範囲です。商学部の特性もあり、金融や産業について、戦後の経済の分野が頻出されています。特に学校ではカリキュラム的に時間が足りず、じっくり丁寧に学ぶことが難しい範囲でもあります。
また、経済の仕組みをしっかり理解していないと解けない問題が多く、論述問題もあり配点も高いので、現代につながる上で、身近に捉えやすいことも多いので、日頃から関心を持ち、論理的にまとめられる対策が必要となります。

まとめ

早稻田大学商学部の日本史は、教科書レベルの正確な知識が必要です。たかが教科書、されど教科書です。ただの丸暗記で用語だけを覚えているだけでは、到底太刀打ちができません。
歴史は人間が作り上げてきた変遷と発展の様子を、時代の流れに沿ってまとめているものです。大げさに聞こえるかもしれませんが、どんなことが起こり、それに対してどのように考え、なぜ行動を起こしたのか。そして、行動を起こしてどんな結果になり、それがどんな風につながっていたのか。過去の人たちといえども、同じ人間です。
学問として捉えていく必要もありますが、歴史が苦手だと感じる場合は、自分だったらどうするのか、自分に置き換えて考えてみるのも歴史を勉強する上での考え方の一つです。

近年ではアニメや漫画、小説等でも時代を取り扱った物語も多くなり、歴史や文化に関心を持ち、興味を持つきっかけになることも多いと思います。また、自分だったら、という目線で考える機会も多いのではないかと思います。

ただの暗記では、前後関係の流れを聞かれたときに、特に試験という本番では、頭が真っ白になってしまうこともあります。人の記憶の定着力は若いうちは、特に単語だけでも覚ええていられますが、関連付けて覚えることで更に忘れにくくなります。
用語もしかり、論述もしかり、以下に関連付けて覚えていくことができるかが、合否の分け目になります。

勉強する科目は日本史だけではなく、他にもあるので、自己分析をしっかり行いましょう。まず、用語や時代の流れなどは大まかな記憶の定着しかできていないのか。それとも特定の時代だけ苦手意識を持っているのか。自分の苦手を見極めましょう。全体的に記憶の定着があいまいな場合は、自分なりの年表を書いたり、関連するキーワードは一緒に整理できるようにひとつの箇所にまとめたり、または、合わせて史料集を活用し、ビジュアル的に記憶にインプットさせるなど、以下に関連性や流れをまとめて整理できるかを徹底してきた学生さんは、試験に突破できている傾向にあります。

自己分析をしっかりしてから、対策を練っていきましょう。