はじめに
早稲田大学文学部の一般選抜は、国語、外国語、地歴の3教科です。地歴に関しては、世界史・日本史のいずれかを選択します。今回取り上げるのは、日本史の方です。
早稲田大学文学部の日本史の大きな特徴は、問題数が多く、極端に偏りが無い点にあります。よって、全ての時代を取りこぼすことなく、丁寧に勉強しなければなりません。それは避けられないことですが、その中でも細かい傾向を知っておけば、対策を講じる大きなヒントとなります。
この記事では、早稲田大学文学部日本史の入試問題の傾向について、調べ上げた内容を余すところなくお伝えします。ぜひ、ご一読ください。
基本情報
早稲田大学文学部の日本史の配点は50点、試験時間は60分間です。大問は6題で、その中に小問が45問ほど含まれています。よって、大問1題あたり、8〜10分程度の解答ペースをキープする必要があります。
こうして見ると、他の学部に比べて、問題量が多いことに気付くでしょう。すなわち必然的に、出題範囲は広くなり、時代・分野ともに限定することができなくなります。
しかしながら、問題のレベルは、教科書を細部まで熟読していれば解ける基本的なものが多いので、全く歯が立たないというわけではありません。用語・歴史事項を偏りなく理解し、覚えているかをチェックする問題が出題されます。また、文学部ならではの資料を絡めた問題も見受けられます。
よって、問題1つ1つのレベルはそう難しくないものの、全時代、全分野満遍なく勉強しておかないと合格が勝ち取れないといった意味で、早稲田大学文学部の日本史の問題は、最難関試験だと言えるのです。
レベル
「基本情報」で触れた通り、ほとんどが、教科書をベースとした標準的な問題です。ですが、教科書のすみに細かく書いてある事項に関する問いもあることを、忘れないでください。また、他学部に比べて問題数が多く、全時代にまたがって出題されるため、レベルはかなり高いと言えます。
出題範囲
早稲田大学文学部日本史の出題範囲は、全時代です。
その中でも出題傾向を探っていくと、早稲田大学文学部の日本史の特徴として、他の大学・学部に比べて、古代史と江戸時代に重きが置かれる点が浮かび上がります。近代前史への偏りが多少見られます。これが受験勉強を進める上での1つのヒントとなるでしょう。
しかしながら、先述した通り、早稲田大学文学部の日本史は、原始~近現代までの全時代にまたがって出題される傾向があることを忘れないでください。この傾向を念頭に置き、対策を練ることが大切です。
形式
出題形式は、マーク式・記述式の2種類です。割合は、マーク式6割、記述式4割です。早稲田大学文学部の日本史に、論述問題の出題はありません。大問1〜6全て、各時代に関する問題文を読み、選択もしくは用語記述で解答する形式をとっています。しかしながら、論述問題がないから問題が簡単だと言うわけではなく、それに対応できる程度の知識や理解力は必要です。
設問パターンとして、正誤判定・一問一答・空欄補充・年代配列が挙げられます。問題形式は、正誤問題と説明問題が多く見られます。ちなみに、史料問題は近年出題されていません。
この中でもカギとなるのは、正誤問題です。中には、2つ解答させるケースもあります。このタイプの問題に自信を持って解答するには、教科書に記載されている細かい事柄まで頭に入れておく必要があります。あるいは、もっと言うと、教科書に載っている以外の知識をも駆使してはじめて理解できる選択肢もあります。補足として、史料問題は近年出題されていませんが、万一出題された時のため、史料集に目を通しておくことをおすすめします。
出題内容
出題内容に関するポイントを、いくつかご紹介します。
文化史に関する問題が必ず出題される
通史の勉強が、日本史のベースであることは言うまでもありませんが、早稲田大学文学部においては、文化史が必出であることを踏まえ、準備を進めることを忘れないでください。学校の授業では、文化史のみを切り取って勉強する機会はあまりないため、自分で時間を作って、基本的な知識を覚えるように努めましょう。
その際には、美術品(仏像・建築物・絵画等)の名前だけでなく、外観もあわせて頭に入れてください。名称と外観を組み合わせた問いも、見受けられます。
同じ内容の問題が見られる
大問1には考古学に関する問題が、大問6には美術史に関する問題が、例年出題されています。特に美術史の問題は、細かい知識がきちんと備わっているかを確認する難問です。これを知っておくことで、対策が練りやすくなります。考古学、美術史について何を聞かれても大丈夫なように準備をしておくことはもちろん、過去問で出題スタイルを把握することが大切です。
日本史に関するニュース関連の出題もある
机にかじりついて勉強するだけでなく、日頃からアンテナを張り、日本史に関するニュースを新聞やテレビで見聞きしたら、それ関連の出題対策のため、情報の整理を行いましょう。なんとなくではなく、正確に理解するよう努めてください。
例えば、2018年、関東地方にある旧石器時代の遺跡から出土した細石刃の黒曜石の中に、伊豆七島の神津島産があることが判明したと報じられました。この話題が、2021年の入試問題の中に入れ込まれています。問題文には、以下のような記載があります。
「関東地方の約3万5千年前の遺跡から伊豆七島神津島産の黒曜石が見つかっており、後期旧石器時代にも何らかの渡航技術があったことが分かっている。」
特に、考古学関連のニュースは、要チェックです。
前近代史の出題傾向が高い
先にも述べましたが、早稲田大学文学部の日本史の問題は、全時代から出題されます。その中でもあえて注意すべき点を挙げるとすれば、前近代史の出題比重が高い傾向にあるという点です。よって、特に前近代史の中で理解が曖昧な箇所を無くすよう、対策を練ることが大切です。
短文論述・論述は出題されない
早稲田大学の中でも、学部によっては、論述問題を含むところもありますが、早稲田大学文学部の日本史においては、短文論述・論述に関しての出題がありません。その分、問題数が多く、また細かい知識が必要となる問題があります。
まとめ
受験に打ち勝つには、まず、相手を知ることが大切です。
今回は、早稲田大学文学部日本史の入試問題の傾向について徹底解説しました。
基本的には教科書レベルのものがほとんどですが、問題数が多く、全時代出題される可能性があるというのが、最も大きな特徴です。よって、満遍なく勉強をしておく必要があります。そういった点で、早稲田大学文学部の日本史の問題は、難関試験だと言えます。
その難関試験に挑むため、この記事の中では、さらに、特に重点が置かれる時代や、カギとなる問題パターン、必ず出題される問題といった出題内容に関するポイントなどをご紹介しました。今回ご紹介した出題傾向をヒントに、対策を練り、ぜひ合格を勝ち取ってください。