はじめに

早稲田大学の学部の中で、今回注目するのは文学部です。
文学部の一般選抜の試験科目は、外国語、国語、地歴の3教科で、配点は外国語75点、国語75点、地歴50点となっています。地歴については、世界史・日本史のいずれかを選択しますが、この記事では世界史に注目します。
世界史は、時間をかけて知識を頭に入れれば入れるほど、点数が稼げる教科です。しかしながら配点が高く、長い時間を費やす必要がある国語や英語により時間をかける必要があるので、実際にはあまり時間をさけません。そこでこの記事では、効率よく勉強を進めるため、早稲田大学文学部の世界史の入試問題を徹底的に掘り下げてみます。ぜひ、ご一読ください。

基本情報

試験時間は、60分です。大問は7〜9題で、各大問には5〜7問の小問が含まれています。よって、1つの大問につき、7分くらいのペースで解いていくことが求められます。早稲田大学文学部の世界史の入試問題の特徴として、試験時間に対して、全体として問題数が多い点が挙げられます。いかにスピーディーに問題を解けるかが、合否を分ける大きなポイントとなります。論述式の問題も出題されるので、基本的な知識が定着していないと、最後の問題までたどりつけない可能性もあるでしょう。
逆にいえば、早稲田大学文学部の世界史の問題は、年代にあまり偏りがなく、癖もないので、基本さえきっちりおさえて勉強をしておけば、途中で止まることなく消化できるため、十分時間内に解ききれるといえます。

レベル

レベルは、標準です。教科書レベルのものが多いです。早稲田大学の入試問題によく見られる、重箱の隅をつつくような問題は、あまりこの学部では見受けられません。逆にいうと、苦手な時代、地域、ジャンル等を作らず、正確に知識を蓄えておくことが求められます。
ただ、教科書レベルとはいえ、超難関私大の早稲田大学の入試問題ですから、教科書の太字のみではもちろん不十分です。注釈や、細かい説明文の中から出題されることもあります。また、ほとんどの問題が教科書レベルですが、中には大半の受験生が答えられない難問が数問出題されることもあります。

出題範囲

どの時代も、どの地域も、満遍なく出題されます。よって、幅広い知識が必要です。中には、世界史の問題でありながら、地図を使った地理的な知識が求められる問題もあります。文学史も頻出なので、勉強するのを忘れないようにしましょう。時代・知識にあまり偏りはありませんが、その中でも特に狙われやすい時代、地域、それぞれの傾向についてさらに詳しく以下にご説明します。

時代

先史時代〜第二次世界大戦後まで偏りなく出題されます。早稲田大学の他の学部と比較すると、文学部の世界史の問題は、現代史が若干少ない傾向にあるのが大きな特徴です。それと引き換えに、他大学、他学部ではあまり見かけない先史時代あたりの問題が、比較的よく出題されます。
2021年の最初の問題は、古代オリエントに関する問題です。
古代オリエント地域では、大河の定期的な増水を利用した治水・灌漑を行った結果、王を中心とする初期国家が誕生する。メソポタミア地域では、ウルやウルク、ラガシュなどに A 人による都市国家が形成され繫栄していたが、前24世紀頃に B 王国により征服・統一され、広大な領域国家が作られた。

問1 空欄 A にあてはまる語は何か。次のア~エから一つ選びなさい
 
 ア アッカド イ アッシリア ウ エラム エ シュメール

問2 空欄 B にあてはまる王国の創始者とされる王の名を記しなさい。

このような問題も出題されるので、注意が必要です。早稲田大学を受験するからといって、近現代を集中して勉強するのではなく、幅広い時代の学習をしておきましょう。受験勉強をスタートさせたはじめの頃に、先史時代あたりの勉強をしたきりになっているのであれば、記憶があやふやになっていることも考えられます。きちんと復習して入試に備えましょう。
また、経済史より政治史の出題頻度が高いことも覚えておいてください。政治史は、比較的理解しやすいので、点数を落とさないように万全の準備が必要です。

地域

地域に関しても、偏りはほとんどありません。敢えて言うならば、やや東洋史が多い傾向にあります。東洋史は、中国を中心に出題されます。また、西洋史の中心となるのは、西ヨーロッパです。

形式

出題形式は、マーク式・記述式・論述式の3種類ですが、記号や単語で答える単答問題がほとんどです。その割合としては、マーク式が5割強、記述式が5割弱です。論述問題は、毎年必ず出題されるというわけではありません。これら3種類について、さらに詳しくご説明します。

マーク式

マーク式の問題パターンは、空欄補充、年代整序、正誤問題です。この中で大半を占めるのが、正誤問題です。「誤っているものはどれか」「不適切な記述はどれか」「これに含まないものはどれか」といった誤りを指摘する問いが多く見られます。

記述式

用語を答える問題が出題されます。教科書の太字のみならず、細かい知識を問う問題もあります。

論述式

問題文に指定されている使用すべき語句を使って、解答を作ります。問題のレベルは標準的で、字数も30字〜120字程度と短めです。教科書をしっかり読み込んでおけば、そう難しく感じることはないでしょう。先に述べたように、このタイプの問題は、毎年出題されるわけではありません。過去の例を見ると、これまでの論述問題のほとんどは、中国がテーマの大問において出題されています。

出題ジャンル

通史

毎年目にする問題として、年代整序の問題があります。また、空欄補充の問題も多く出題されます。よって、単語を覚える際に、その単語が位置するのは歴史上のどの辺りか、おさえておく必要があります。歴史の流れの中で覚えるようにしましょう。

用語

上述した通り、全体的に早稲田大学文学部の世界史の問題は、標準的なものが多いですが、超難関私大である早稲田大学の問題らしく、用語を答えさせる問題においては、非常に難易度が高い問題が出題されることがあります。よって、教科書は隅々まで目を通しておく必要があります。

美術史

写真や絵画を使った美術史の問題は、盲点です。このジャンルの勉強を怠って失点してしまうのは、非常にもったいないので、忘れずしっかり対策をしておいてください。2021年には、ピカソの作品を選択させる写真問題が出題されています。選択肢の中には、ピカソの泣く女以外に、ゴッホのひまわり、マティスのイカロス、アンディ=ウォーホルのマリリンが含まれています。

まとめ

今回は、早稲田大学文学部の世界史の入試問題の傾向についてご紹介しました。
試験時間に対して、全体的に問題数が多いものの、そのほとんどが教科書レベルの問題で、しかも満遍なく出題されます。教科書の太字以外の部分もしっかり頭に入れておくことが大切です。その知識を頼りに、いかにスピーディーに問題を解いていけるかが、合否を分けるカギとなります。
また、他の大学、学部ではあまり出題されることがない先史時代の問題が狙われやすいことや、地域でいうと東洋史がよく出されること、出題形式に関して、マーク式、記述式に加えて論述式の問題が出題されることなど、早稲田大学文学部特有の傾向もおさえておきましょう。限られた時間を有効に使うため、対策を練るうえでの参考にしてください。