早稲田大学文学部「英語」

早稲田大学の文学部の英語は、毎年傾向がほぼ変わっていません。
傾向さえ把握すれば対策は十分に可能です。
ポイントは「スピード」と「語彙力」。
英文量が非常に多いと言われていますが、実際にどのような問題が出題されるのか、詳しく見ていきましょう。

早稲田大学の文学部 基本情報

早稲田大学の文学部は、文化構想学部とともに2007年に設置(改組)された学部で、場所は戸山キャンパスになります。
全体の男女比を見ると男性のほうが多い早稲田大学ですが、文学部は女性の比率が高いことも特徴です。
文学部の一般試験の受験科目は、「外国語・国語・地歴(日本史または世界史)」です。配点は外国語と国語が75点、地歴が50点となっています。
合格のために英語(外国語)では、制限時間90分の中で8割以上は点数を取らなければならないと言われています。
しかし、文学部の英語は適切な対策をしなければ時間内に問題を解き切ることすら難しいのです。
例年大きな変化はないので、ぜひ本記事の傾向まとめを参考にして対策してください。
大問は5つで構成されています。
そのうち、大問1~4は選択式問題、大問5は要約(英作)問題となっています。
選択式問題が多いので時間内に解くのは容易だと感じた人もいるかもしれませんが、じつは文学部の英語は時間との勝負です。
その理由は、設問から選択肢まですべて英語で記載されているからです。
また、どの大問でも長文が出題され、その英文は200語~800語と多岐にわたります。
問題文のみでもトータルで2500語前後となるため、時間内に設問を読み、問題を理解し、正解を導くハードルが非常に高くなるのです。
ただ、先ほどお伝えした通り、文学部の英語の傾向は毎年ほとんど変化がないので、傾向さえ把握しておけば対策は十分可能です。
5つの大問それぞれの傾向を見ていきましょう。

■大問1 語彙力が勝負の空欄補充問題

一番初めの大問1では、適切な単語を選択する空欄補充形式の問題が出題されます。
設問ごとの短文ではなく、300語前後の長文の中に空所があり、そこに適した単語を選ぶ形式です。
大問1のポイントは、それぞれの選択肢は同じ品詞が並ぶということ。
意味の違いで解答を導き出すことになるので、語彙力がカギとなります。
ただ、選択肢の単語は一般的な単語帳に載っているものばかりなので、覚える語数だけでなく、1つの単語が持つ複数の意味を正確に覚えておくとよいでしょう。
単語を選ぶ空欄補充問題なので、英文をすべて読み込む必要はありません。
しかし、空所に入る単語の意味を英文の流れから推測することは十分可能です。
時間のかけすぎは禁物ですが、確実に点数を取れるよう落とさないようにしましょう。

■大問2 スピード重視のオーソドックスな長文読解

大問2は、どの大学でもよく出題されている長文読解問題です。
英文を読み、設問ごとの選択肢から内容と一致するものを選びます。
傾向としては、5~10行程度の段落ごとに1つ設問が用意されているようです。
ちなみに長文は3つ出題され、それぞれ200語、300語、500語前後の長さです。
500語前後の英文とは、問題用紙1ページ分が丸々埋まるほどの量。
頭から丁寧に訳して理解しようとすると確実に時間が足りなくなってしまいます。
つまりこの大問2では、英文を頭から読んでスピーディーに理解できる読解力が非常に重要です。
また、本文や設問自体の難易度はそれほど高くないので、長文読解の対策をしてきた受験生にとっては得点源の大問になります。
ひねった選択肢は少ない傾向です。
ただ、本文中の単語がそのまま選択肢に書かれているわけではありません。
表現が言い換えられているので、当然語彙力も重要になってきます。
同義語や対義語などを体系的に整理して単語・熟語を覚えていく必要があるでしょう。

■大問3 じつは解きやすい脱文補充問題

大問3は初見だと非常に難しそうに見える問題です。
脱文補充問題、適文挿入問題などと言われている、長文中の空所に適切な一文を選ばせる問題です。
長文自体は800語前後。
選択肢の長文は8つあり、1~2つはダミーでどの空所にも当てはまりません。
おおよその内容だけで判断するとミスをする可能性が高くなってしまいます。
難易度の高い大問に感じたかもしれませんが、じつは大問1のような単語を選ぶ問題よりも解きやすいのです。
それは、本文だけでなく選択肢自体も長文なので、ヒントが多くなるからです。
たとえば時制に注目したとき、内容を読まずとも消去できる選択肢が現れます。
ほかにも、文頭の副詞など特徴的な表現に注目すれば、安全に正解を絞り込むことができるのです。
すべての選択肢の内容を読んで理解する時間はほとんどありません。
よって、大問3では注目するポイントを用意して選択肢を消去法で絞っていく対策を取っていきましょう。

■大問4 口語表現がカギになる会話文補充問題

大問4も空所に適切な用語を選ぶ空所補充問題ですが、ここのポイントは「会話文」であることです。
会話文のため、本文の語数は100~150語ほど。
選択肢自体も標準レベルの単語・熟語なので、これまでの大問のポイントと同様に語彙力を鍛えておけば対応できる問題です。
しかし、会話文なのでこれまでの英文とは違い、本文中にも選択肢にも口語表現が多数出てきます。
口語表現は単語帳にはまとめきれないほど多種多様なので、知らない表現が出題されることもしばしばあるでしょう。
そのときは、使われている前置詞や動詞から意味を推測する必要があります。
難易度は少し高くなりますが、単語の語源から理解しておくと発想しやすくなるかもしれません。
ただ、そのような知らない表現が出てきて本番で解けなかったとしても、落ち込む必要はありません。
みなさんが使ってきた単語帳・熟語帳に載っていない口語表現は、他の受験生も解けていない可能性が高いでしょう。
入試は合計点で競いますので、正答率が低い問題は引きずらずに得点源の問題で着実に点数を伸ばしたほうが、合格に近づくはずです。

■大問5 要約力・語彙力どちらも欠かせない英文要約問題

最後の大問5は唯一の記述式です。
長文を読み、その内容を自分の言葉で要約して、英文にまとめる問題です。
この問題のポイントは「自分の言葉で」ということ。
つまり、本文中の表現を使うことができません。
また、指定される語数は10語前後と非常に少なく、いかに文章の主旨を理解して、簡潔な言葉でまとめられるかがカギとなります。
英作文に限らず、要約はなんとなくの対策では絶対に対応できません。
具体的な数字や固有名詞を省きながら、同じ意味を伝えるためには、語彙を増やして言い換える力を鍛える必要があります。
そして、重要な主張を絞り込んでいくコツは練習あるのみです。
要約力は大問1~4を解く際にも活かすことができますので、この英作文の対策にはしっかりと時間を確保するとよいでしょう。
また、スペルミスは減点の対象になります。
本番と同様に実際に英文を書く時間も用意しておくと点数を伸ばすことができそうです。

文学部英語のキーワードは「スピード」と「語彙力」

いかがでしたでしょうか。
早稲田大学の中でも、文学部の英語は文章量が多く、速読の力が試される傾向があります。
日本語に訳さずに英文を頭から読んで理解するには、日頃の勉強でも意識しなければ鍛えることはできません。
ただ、本文の内容や出てくる単語は標準レベルです。
英文を読むスピードと、様々な表現に言い換えられる語彙力を鍛えておけば、十分に対応できます。
早い段階から傾向を把握し、対策を始めていきましょう。