日本の私大の中ではトップクラスの早稲田大学文学部の国語。
現代文と古文漢文が出題されますが、これらについて短時間で大量な文章を読み解く必要があります。
合格を勝ち取るために必要な情報を整理し、傾向を分析して攻略をお伝えしていきたいと思います。
文学部の国語の出題傾向
まず、試験時間は90分で配点は75点満点です。
出題内容は現代文2題、古文1題、漢文1題の大問4題で構成されています。
この配点は英語と同じため、国語にもしっかり力を入れる必要があると言えます。
その上で、文学部という性質上、国語の出題傾向において、以下の3つの特徴があると言えます。
2.抽象的な内容が多く、難易度が高い
3.基礎的知識に加え、高度な語彙力や文学史などの知識を問われる
現代文
文章量について、現代文1題につき4000文字前後のため、2題合わせると8000文字程度です。
年により文章量は前後しますが、このくらいの分量の読解には慣れておく必要があります。
時間配分は現代文に重きを置くのが無難かと思います。
古文漢文で概ね40分くらい割いたとして、現代文について50分は時間を当てたいところです。
限られた時間内で文章全体の主旨を理解し、的確に読み解く力が求められます。
出題内容については、評論文の出題が圧倒的に多いですが、随筆も出題される年もあったため、こちらも抑えておく必要があります。
評論の内容は芸術、文学、文化、哲学、思想などの文芸に関することを中心に様々なテーマを取り上げられる傾向があります。
2021年では谷本奈穂の『恋愛の社会学「遊び」とロマンティック・ラブの変容』の一節が出題され、現代社会と恋愛・結婚といったテーマを取り上げている。
続いて、鶴岡真由美「ホモ・オルナートゥス:飾るヒト」の一節が出題されており、民族社会と自然の世界観といったテーマを取り上げており、筆者の主張をどこまで読み解いていくか、高度な読解力を問われる内容となっていました。
文学がテーマの場合、抽象的な表現が多いため、語彙や言葉の微妙なニュアンスの意味を汲み取り、読み取る力が求められます。
他、現代世界と文明史との転換期がテーマだったり、格差社会と文化人類学がテーマだったりと、社会問題について関わる内容も問われることがあり、図表から読み解く問題も出題されてことがあるため、日頃から様々なことに関心を持ち、なぜそうなるのか、どうしてこうなったのか、など考える癖をつけていくことが必要です。
設問傾向としては選択式がメインですが、2020年に記述問題が出題されました。
2021年には出題されませんでしたが、今後定例的になるのかどうか、注視していく必要はあると思います。
他、内容説明や論旨把握、理由説明を問う問題が多いですが、比較的空欄補充の問題が多く出題されているので、接続詞に注目しながら、類比している文章や対比している文章を見極め、短時間での読解力を身に着けておきましょう。
古文
古文の文章量について、年によりバラツキはあるものの、他校と比較すると多く、例年は概ね1000文字前後の文章量ですが、2021年は1500文字ほどあり、文章量の増加傾向がみられました。
ただ、その分設問の難易度は比較的優しい傾向でした。
文章量が多いと意表をつかれてしまいますが、先に問題文に目を通すなどして、大体20分くらいを目安に解けると良いでしょう。
出題内容については、私家集の出題傾向が多いですが擬古物語なども出題されるため、幅広く触れておく必要があります。
具体的には、2019年は『藤原隆信朝臣集』、2020年は『伊勢集』といった私家集が出題されましたが、2021年は『別本八重葎』という擬古物語から出題されました。
また、和歌や俳諧について、文学史と関連して出題されることがあります。
和歌については、解釈や技巧について問われることもあり、高度な知識が必要となります。
年により傾向は変わりますが、和歌が10首ほど出題されて読み解く問題もあれば、1首に絞られ、じっくりと読み解く問題もありました。
問題数の変化等はあったとしても、基本的には文法や文学史について問われるので、古文単語や文法は早めに習得することをおススメします。
特に古文単語は形容詞や形容動詞の使い方、文法は助詞や助動詞、敬語の使い方について基礎的知識として徹底的に身につけましょう。
それに加え、文学史は序列を問われる問題が多いため、古典的知識や歴史的背景に加え、文学史の知識も早めに身に着けておく必要があります。
例年、幅広く出題されているため、過去問の演習を繰り返しておくことが必要です。
設問傾向として、選択式がメインですが、2019年、2020年は2年続けて記述式の問題が出題されました。
2021年について、記述問題は出題されませんでしたが、今後は古文同様に注視していく必要があるかと思います。
漢文
漢文の文章量についてもバラツキはあるものの、250文字前後でこちらも古文同様に他校と比較すると多い傾向にあります。
問題数は4問です。
時間配分については大体20分くらいを目途に解けるよう、演習を重ねましょう。
日常生活で目にしている形の文章とは異なるので、いかに慣れておくか、抵抗をなくしておくかがカギとなります。
出題内容について、物語文や随筆からの出題傾向がありますが、論説文が出題されることもあります。
設問傾向は全て選択式です。
2019年は『夜譚髄録』という志怪小説から、2020年は『邵氏聞見録』という随筆、2021年では『陸九淵集』という論説文から出題されました。
訓点の補充問題や返り点、レ点の付け方について問われることも多く、白文や書き下し文の対策が必要です。
特に書き下し文の問題では二重否定に関する問いが例年出題されているため、どういった順で読むのか、何に対して示しているのかなど、注意深く読み解く力が求められます。
そのためには基礎的な文法を身に着けた上で、多くの文章に触れて慣れておきましょう。
逆を言えば、基礎知識をしっかり身につけておけば、古文よりは解きやすいと思われます。
他、いずれの場合でも、同義語選択や傍線部解釈問題、主旨や要旨の把握問題は出題されますので、文章の前後関係などに着目して読み解く必要があります。
論説文であれば、接続詞に注目して類比対比を整理すれば、解答を導きやすいと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
早稲田大学文学部の国語は難解と言われておりますが、全てにおいて、基礎的な語彙力、文法が備わっていることに加え、読解力を身に着けておくことがカギとなります。
特に語彙力や文法はインプットも当然必要ですが、多くの例題に触れ、アウトプットを繰り返し、使える知識に変えることが必要です。
また、読解力は論旨をいかに早く掴めるかがポイントとなります。
接続詞に注目し、同じ内容を繰り返し言っていることなのか、それとも逆説として主張したいことなのか、文脈の流れを把握し、情報を整理する訓練を積むことが必要です。
例年大きく傾向が変わることはありませんが、早稲田大学文学部の学生になるにあたり、高度な読解力と豊かな感受性、幅広い知識を身に着け、更に自身の成長と新たな世界への広がり、可能性を伸ばしていけるよう、傾向を分析し、徹底的に対策して受験に臨みたいですね。