早稲田大学 社会科学部の国語では、すべての問題がマーク式の記号選択形式で出題されることから、他大学や他の学部学科の問題と比べて対策がおろそかになりやすい傾向があります。しかし、高い読解力が必要とされる現代文と、現代文・古文・漢文の幅広い知識が求められる融合文が同時に出題されることから、必要な勉強量は早稲田大学の他の学部学科と比較しても決して少ないわけではありません。限られた時間の中でポイントを絞った学習を行うために、こちらのページでは早稲田大学社会学部を目指す受験生の方へおすすめの勉強法をご紹介したいと思います。

現代文で必要な勉強

現代文に関しては知識問題はほとんど出されず(漢字のみ)、読解問題が中心の構成となっています。また、読解問題に関しても傍線部の内容理解や理由説明に関するものが大半を占めているため、傍線部周辺に関しては他の部分以上に丁寧に読み進めていく必要があります。一方で、選択肢の中から「適切でない」ものを選ぶ問題や、本文全体の内容合致問題も出されることから、本文の大意を手早く把握する速読の能力も欠かすことができません。

漢字に関しては毎年ほとんど形式が変わらず、本文中のカタカナと同じ漢字を選択する問題が出題されるため、他の問題と比べて対策は立てやすいと言えます。このような同音・同訓異字に関する問題は、共通テストをはじめ他の様々な入試問題でも見られる典型的なものですので、まずは早稲田大学 社会学部の過去問を解き、そこに出てくる熟語を完璧に書けるようにした後で、同様の形式の問題を集中的に解いていくことで練習を重ねていくとよいでしょう。

紛らわしい選択肢への対応力を高める

傍線部の内容理解や空欄補充問題など、該当部分の内容理解や前後の因果関係の把握が求められる問題は、傍線部や空欄部周辺のピンポイントな読解が求められますが、中には紛らわしい選択肢が含まれることも多いため、選択肢内の細かい語句にも注目し、迷ったものがあれば「どちらがより本文の内容に適しているか」を精査していく力が必要です。そのため、日頃から選択問題を解いていく際に誤っている表現に線を引き、一つ一つの選択肢の正誤を明確化していくことや、本文の内容と照らし合わせて理解していく練習が必要です。

本文の内容合致問題や上記のように「不適切な」ものを選択していく問題が最も苦手と感じている人も多いかもしれませんが、このような問題は注目すべき範囲が他の問題と比べて広いことから、選択肢自体は一つ一つの違いが明確であることが多くなっています。ただし、限られた時間の中でこのように範囲の広い問題に対処していくためには相応のスピードが求められますので、日頃から現代文の読解に取り組む際には時間を測るなどして手早く要点をつかむことを心がけていく必要があります。また、本文全体の内容理解には対比や類比といった文同士の関係性を意識することも有効です。学習初期の段階で、特に国語に不安を感じている人は文と文との関係性をノートに図示してみるのも一手でしょう。

融合文で必要な学習法

現代文・古文・漢文の融合文は出題される文章だけでなく、求められる知識の幅も非常に幅広いものとなっています。また、上記のような現代文単独の大問と同様、紛らわしい内容を含む記号選択問題も出題されるため、古文や漢文の内容も正確に理解できるだけの読解力を身につけていく必要もあります。

毎年のように出題される口語文法に関する問題は年によって問われる内容は異なるものの(2021年、2020年は品詞の活用に関する問題、2019年は助動詞の意味の識別問題)、問われている内容自体は標準的な難度のものが多く、確実に得点源にしたいところではあります。あとで述べる古文に関しても同様ですが、文法に特に苦手意識を抱いている人は、ノートに活用表をまとめるなどして、覚えるべき内容を明確にしていきましょう。

古文・漢文の知識を身につけるには

古文や漢文というと、暗記のイメージが強く、苦手意識のある人も少なくないのではないでしょうか。しかし、このような知識分野こそ、確実に対策を立てて得点につなげていく必要があります。中でも古文単語は、英単語などと比べると覚えなくてはならない数も限られており、ポイントを絞って学習をしていけばそれほど時間をかけずに必要な知識を全て身につけることも可能です。

古文単語は大きく次の三つの種類に分類することができます。
1 現代でも使われる単語で、意味も変わらないもの
2 現代でも使われる単語だが、意味が異なるもの
3 現代では使われない単語

この中で入試によく出題されるのは②と③ですが、特に②の現代と意味が異なる単語につ
いては現代文の意味と混同しないように注意が必要です。

そのため、おすすめなのは単語を覚える際に語源も一緒に学習する方法です。
例えば、古文単語の「かなし」には、現代文と同じく「気の毒だ、悲しい」意味を表す「悲し」と、「愛おしい、しみじみと趣深い」意味を表す「愛し」という全く異なる二つの意味が存在します。しかし、元を辿ればどちらも「耐えかねる」という意味の「かぬ」が語源となっており、「耐え切れないほどの悲しみ」と「たまらないほどの愛おしさ」というどちらにも共通する心性が働いていることが理解できるはずです。

また、同一の語であっても使われる文脈によって訳し分けが必要な単語も存在します。代表的なのは「様子や状態が並々ではない、程度が甚だしい」という意味を表す「いみじ」ですが、この単語は肯定的な意味合いで使われる場合は「優れている、素晴らしい」、否定的な意味合いで使われる場合には「ひどい、とんでもない」と、同じ単語であっても文脈によって意味が180度変わります。このような単語も入試ではよく狙われますので、実際の古文の文章を通して複数の訳し方を確認しておくとよいでしょう。

漢文についても基本的な学習の進め方は同様ですが、古文単語のように語句と意味の一対一の対応だけでなく構文が関わってくるものも多いため、「見・被・使・令」など代表的なものは返り点、送り仮名の位置とともにノートにまとめ、参考書の練習問題などで使い方をよく確認しておきましょう。

また一方で、早稲田大学 社会科学部の融合文では、単純な知識だけでは解けない漢文・漢詩の内容理解に関する問題や、自分で返り点をつけさせるような高度な構文の理解が求められる問題も出されます。特に返り点に関する問題は共通テストなどでも頻出ではありますが、早稲田大学 社会学部で出題される問題は、それらのテストでよく出される構文の理解だけでなく、設問文中につけられた口語訳や前後の文脈から意味を推測する必要のあるものも含まれています。「使役」や「受け身」といった基本的な構文に関してはきちんと理解をしておくとともに、さまざまな問題に触れ、このような形式の問題に慣れていくようにしましょう。