早稲田大学国際教養学部の英語試験の概要

早稲田大学国際教養学部では、かつて国語や選択科目を含めて3科目で独自試験が行われていました。しかし、2021年度より大学入学共通テストが導入されたことに伴い、学部別独自試験は「英語のみ」のテストに変更されています。また、英語4技能テストの点数が15点→20点満点へと繰り上げられ、筆記試験は85点→80点満点となりましたので、配点の変更には注意しておきましょう。

【早稲田大学国際教養学部の独自試験について】

・英語のみの入試
・英検・TOEFL iBT・IELTSといった4技能テストのスコア(20点)+記試験(80点)=100点満点のテスト
 
※4技能テストは未提出でも受験可能

4技能テストは未提出でも受験することが出来るため、「受験勉強に専念するから受けなくてもいいや・・」「独自試験でハイスコアを出せば受けなくても大丈夫でしょ」と思う方もいるかもしれません。

しかし、受験では何が起きるかは、誰にも予測できないものです。予想外の問題が出たり、受験会場の雰囲気に呑まれたりして、思った以上にスコアが伸びない可能性もあります。少しでもスコアの底上げが出来るように、4技能テストは事前にしっかり結果を出しておきたいところです。早稲田大学を目指す高校3年生であれば、英検準2~2級レベルは確実に狙える範囲内にあります。2級を取ることが出来れば、試験換算では最低でも7点が確保できますので、「たった7点」と思わず、確実に取りに行きましょう。

4技能テストの中で、どれを受けようか迷っている方に特におすすめなのは「TOEFL」のテストです。TOEFLの問題は早稲田大学国際教養学部の入試問題に非常に類似していると言われています。TOEFLの試験勉強をすることが、同時に大学入試対策にもつながりますので、「4技能テスト対策と筆記試験対策の両立が難しい」と悩んでいる学生の方は、TOEFLにチャレンジしてみると良いでしょう。

4技能テストの入試への加点については、以下の表のとおりです。

入試スコア 英検 TOEFL IELTS
20点 1級 95以上 7.0以上
14点 準1級 72~94 5.5~6.5
7点 2級 42~71 4.0~5.0
0点 準2級 41以下 3.5以下

ちなみに、早稲田大学国際教養学部の差値は67.5。独自試験が「英語のみ」となったことで、「英語が得意でハイレベルな学生」がより一層集中して受験することが予想されます。しかし、ここ3年のデータでは年々受験生が減少傾向にあるため(2021年の倍率は3.4倍)、チャンスは大きいと考えていいかもしれません。とはいえ、読解力や速読力が求められる高度な試験に変わりはありませんので、しっかりとした対策を行っていくことが大切です。

早稲田大学国際教養学部の英語試験の傾向と対策

早稲田大学国際教養学部の学部別独自試験(英語)は、「Reading(90分)」「Writhing(60分)」の2つのパートに分けることができます。

試験全体は大問4つの構成となっており、合計で80点満点です(残りの20点は4技能テスト)。また4技能テストが採用されたことにより、独自試験におけるリスニング問題はありません。以前はリスニングテストがありましたが、最新の入試問題からはリスニングパートが無くなっていますので、間違えないように気を付けておきましょう。

【早稲田大学国際教養学部の英語試験の構成】

内容 目安時間
大問1 長文問題 25~30分
大問2 長文 25~30分
大問3 要約英作文 15分
大問4 自由英作文 10分

この入試問題は、長文がマーク式であり、英作文は記述式と、試験形式が明確に分かれています。試験全体の総語数は3,000字程度と他学部と比べて飛び抜けて難しい問題ではありませんので、マーク式をなるべく早く解答して、英作文にじっくりと時間を使いたいところです。ただし問題で取り上げられているテーマが分かりづらい(よく知らない)トピックである可能性も大きく、スラスラ解答できるとは限りません。そのため、日ごろから20~25分くらいを目標に解答できるように練習しておくと、後半も余裕を持って解答ができるでしょう。

それでは、早稲田大学国際教養学部の英語試験の概要が分かったところで、ここからは対策のポイントについて詳しく見ていきます。

【長文読解の対策ポイント】

文章読解では、「長い文章をいかに正しく理解できるか」というポイントが重要です。早稲田大学国際教養学部の長文読解問題は、社会論や科学論に関する問題のほか、小説文や歴史に関する文章が毎年出題されており、速読力や読解力は絶対に欠かせない要素となっています。

たとえば、最も直近の入試である2021年の入試には、
「Lego社の沿革と展望」
「口頭言語と記述言語」
「時間のもつ相対的側面」
の3つのトピックが選ばれ、英語力だけでなく「ベースとなる知識」や「理解力」が問われる問題が出題されました。

また過去には、「ヨーロッパの植民地化の歴史」「19世紀のイギリスの国民的ヒロイン」といった歴史関係の題材や、「日本初女性オリンピックメダリストについて」といった小説的な内容をもとにしたテーマが出題されていたようです。なかでも、受験生を苦戦させるのが小説です。小説は、論文とは違う独特の言い回しや表現があり、「言いたいことが良く分からない」「何の話をしているのか要点が掴めない」と感じることも少なくありません。

そのため、日ごろから問題集や過去問などで社会・科学的なトピックを扱った問題をたくさん解いておくことが大切です。さらに早稲田大学国際教養学部の英語入試では、TOEFLに似た問題が出題されることも多々あるため、TOEFLの問題集でさまざまなジャンルの問題に慣れておくのも良いでしょう。
さらに長文の問題では、選択肢が20前後あるケースも多いため、長文の内容を正確に理解し、瞬時に適切な答えを選ぶ力も求められます。とはいえ、長文読解は勉強してもなかなかすぐに結果が出るパートではないため、受験勉強が点数に直結せずに悩むこともあるでしょう。そんな時は、スラッシュリーディングやパラグラフリーディング、音読などを繰り返し、まずは日本語訳をしなくても英文がスムーズに頭に入ってくる状態を作るようにしましょう。

★オススメテキスト
『TopGrade 難関大突破 英語長文問題精選』(学研プラス) 村瀬亨 著
飛び抜けて難しいというわけではありませんが、難関大学の良質な問題が多数掲載されています。長文読解力だけでなく、英作文や要約能力を培うのにも最適です。文全体の構造を掴み、理解してからではないと解けない問題ばかりですので、早稲田大学国際教養学部を狙う受験生なら一度はやっておきたい参考書と言えるでしょう。

【英作文の対策ポイント】

英作文の要約では、「どこを残し、どこを捨てるのかを判断する力」が求められます。早稲田大学国際教養学部の英作文で出題されるジャンルはそれほど難しくはありません。しかし採点に「減点方式」が採用されているため、文法表現の間違いや単語の書き間違いといった小さなミスが大きな失点に繋がってしまうこともあります。さらに、「そもそも文章の意味が理解できていない」「必要な部分が要約されていない」となると、丸ごと減点(時にはゼロ点)となる場合もありますので、かなり注意が必要です。

英作文を攻略するためには、長い文章を読んで、「適切な英語で・適切な部分を要約する力」を養う訓練をしておく必要があります。2021年の入試には、グラフや表から読み取る問題も出題されていましたので、これから受験を考えている方は、さまざまなテーマ・出題形式に対応できる応用力も身に付けておかなければなりません。

また、早稲田大学国際教養学部の英語入試には、「英語の文章を読んで日本語で要約する問題」もあります。こちらは英語ではなく日本語で解答する問題ですので、文章の要点を抑えて日本語でまとめる技術も必要です。しかも、この問題には字数制限がありませんので、どこをどのように切り取るか?が重要なカギを握ることは言うまでもありません。必要な箇所が抜け落ちたり、余計なところを間違って盛り込んだりしないように、ポイントを的確に掴む訓練も事前にしっかりと行っておきたいところです。

★オススメテキスト
『難関大のための 上級問題 特訓ライティング』(旺文社) 佐藤仁志 著
この一冊だけで、入試における自由英作文の基本的な出題形式の対策がバッチリ行えます。良質な問題のセレクトに加え、正しい解答プロセスの解説や丁寧な説明が豊富に掲載されており、1冊買って損はありません。また英作文の本には珍しく、自己点検票やモデル解答の音声サービスも付いています。英作文に悩む受験生、必携の参考書です。

まとめ

今回の記事では、早稲田大学国際教養学部の英語試験の概要と対策ポイントについて詳しく解説しました。
同学部の合格ラインは約8割。やや高いと感じる方もいるかもしれませんが、「英語が得意な人」「帰国子女」といったレベルの高い学生が多く受験する試験ですので、ライバルに負けないように対策をしっかり練っておくことが大切です。
とはいえ、最初からいきなり高スコアを出せる人はなかなかいません。過去問や問題集などを利用して点数アップのコツを身に付け、少しずつ高得点に近づけるように努力していきましょう!